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テロ概要
テロ概要
1.概況
(1)2012年中に発生した民間人を標的とするテロ事件として、
テルアビブ市内路線バスにおける爆弾テロ事件(11月21日、26名負傷)や、
イスラエル南部対エジプト国境付近における建設作業用車両に対する
銃撃・爆弾テロ事件(6月18日、1名死亡)などが挙げられます
。
(2)2000年9月末、いわゆる「第二次インティファーダ
(アル・アクサー・インティファーダ)」
(注:イスラエルの占領に対するパレスチナ民衆蜂起)が始まり、
多数の死傷者が出ました。死者数は、イスラエル側が2012年末までに1,233人(同国政府調べ)、
パレスチナ側が2012年10月末までに7,307人(人権団体調べ)とされています。イスラエル側の死者は、
パレスチナ側によるテロの犠牲となった一般市民が多数を占めますが、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区で
任務遂行中のイスラエル国防軍(IDF)の兵士も含まれています。パレスチナ側の死者は、IDFによって
殺害された過激派組織の構成員が多数を占めますが、IDF及びパレスチナ人組織により殺害された一般市民の被害者も含まれています。
(3)テロによるイスラエル側死亡者の推移を見ると、2000年44人、2001年207人、2002年452人と増加した後、2003年208人、
2004年117人、2005年56人、2006年30人、2007年13人、2008年36人、2009年15人、2010年9人と減少傾向が続き、2011年は22人と増加しましたが、
2012年は9人と再び減少しました。なお、2002年前後に多発した自爆テロ事件の発生は、2007年及び2008年は各1件、2009年以降は各0件と沈静化しています。
また、パレスチナ自治区のガザ地区で活動する武装勢力によるイスラエル南部各地に対するロケット弾及び迫撃砲による攻撃は、ロケット
弾による攻撃が2008年2,048件、2009年569件、2010年152件、迫撃砲による攻撃が2008年1,668件、2009年289件、2010年217件と、それぞれ減少傾向にありましたが、
2011年はロケット弾による攻撃が419件、迫撃砲による攻撃が258件と、いずれも増加し、さらに2012年は、11月にIDFがガザ地区に対する軍事作戦を実施したことを受け、
ロケット弾による攻撃が2,335件と激増しました。(同年中の迫撃砲弾による攻撃は209件と前年より減少しました。)
2.各組織の活動状況及び各地域の治安情勢
(1)パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区には、ハマス、パレスチナ・イスラミック・ジハード(PIJ)、
パレスチナ解放人民戦線(PFLP)、パレスチナ解放民主戦線(DFLP)、パレスチナ解放人民戦線総司令部(PFLP-GC)、
人民抵抗委員会(PRC)等の過激派組織が存在します。イスラエル政府は、多数のテロ行為が治安当局の阻止活動等により未然に防止されたとしていますが、
一部の組織は継続的にテロを敢行していると見られます。
(2)これまでのところ、イスラエルでは、アル・カーイダ及びその関連の国際的なイスラム過激派組織によるテロは発生していませんが、
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区では、過去、外国人誘拐事案、ロケット弾・迫撃砲による攻撃事案等において、
アル・カーイダの影響下にあるとされる組織が犯行声明を発出しています。
(3)イスラエル北部と国境を接するレバノン南部には、イスラム教シーア派組織ヒズボラ(対イスラエル抵抗運動を標榜)のほか、
パレスチナ人過激派組織及びアル・カーイダの影響を受けたとされる組織が存在しており、2012年中にも、レバノン領内からイスラエル領内北部に向けた
ロケット弾による攻撃事案等が発生しています。
3.誘拐事件の発生状況
2012年中は、外国人を標的とした誘拐事案は発生しませんでした。なお、過去には、IDF兵士の誘拐(未遂)
事案の発生及び誘拐計画の摘発が報じられています。
4.日本人・日本権益に対する脅威
(1)イスラエル、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区におけるテロの主たる対象は、これまでのところ、IDF兵士、入植者等のイスラエル人であり、
日本人・日本権益を直接ねらったテロ事件は発生していません。
(2)しかし、イスラエルにおいては、日本人を含む外国人がテロ事件に巻き込まれる可能性は否定できません。
また、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区においても、過去に外国人をねらった誘拐事件が発生するなど、
日本人・日本権益も必ずしも安全とは言えず、今後とも注意が必要です。
<2012年12月末現在>
(注記)
「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、
又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとれています。
本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等2012年12月末現在の情報等に基づき、
海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、
本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。