カルカリスト紙による中村和彦公使及び栗田宗樹書記官へのインタビュー

2020/7/1

7月1日,カルカリスト紙による中村和彦公使及び栗田宗樹書記官へのインタビュー記事が掲載されました。(同誌記事はこちら





【タイトル】 反対のものが引き合う時:スタートアップ・ネイションがスケールアップ・ネイションになるのを日本は助けられるか?


【記事概要】

●イスラエルと日本の経済関係は近年これまでにない成長を見せているが,特に新型コロナウィルス後の「新しい日常」で世界が直面する課題を考慮すると,ポテンシャルはさらに大きい。

●「イスラエルは特にイノベーションの観点から日本にとって重要である。日本経済にとって最大の課題は生産性向上であり,そのためにイノベーションが必要。この文脈で,日本はイスラエルとの協力・パートナーシップを特に重視している。」

●「イスラエルと日本の文化的違いは大きく,時に正反対とも言われるが,この違いの大きさこそがイノベーションにとって重要である。イノベーションは異なるものがぶつかることで生まれるため,日本とイスラエルとでに真に破壊的イノベーションが生み出せると期待している。」

●「0から1を生み出すイスラエルのスタートアップ・企業・アカデミアと,大量生産,製品標準化,世界中への販売力といった1を10にする力を持つ日本企業が組むことで,一緒になってイスラエルのテクノロジーを世界に販売していける。」

●現在のコロナ禍によって両国間の人の往来が一時的にストップしているせいで,まだイスラエルとの具体的な関係を築けていない日本企業の活動はストップしている。一方で,「既にイスラエルと堅固な関係を構築している日本のVCは活動を減らしておらず,両国関係にとって良い兆候である。日本企業の多くは危機に備えた多額の内部留保を有しているため,今回の危機を多くが乗り越えると期待している。その後には,世界的な低金利を背景に,またコロナ後の「新しい日常」に適応した社会形成に向け,日本企業はイノベーション活動を再開するだろう。その際に,イスラエルはトッププライオリティである。」

●新型コロナウィルスに関連した協力については,「重要なのはこれまでの協力ではなく,今後の協力である。新型コロナウィルスのリスクの中で生活を維持していくために,新たなルールや生活様式をテクノロジーや新たな製品の導入等によって形成していく必要がある。新たな生活様式や社会においても,我々が重視する透明性や資本・人の移動の自由といった価値や原則を追求するために国際的連携が必要であり,この観点からもイスラエルは重要なパートナーである。」

●日本企業は数多くの分野に投資をしているが,両国がMOUを結んで特に重点を置いているのがサイバーセキュリティとデジタルヘルスである。これらは,ポスト・コロナにおいて求められるリモート・ワークや遠隔医療,遠隔教育等でも重要な分野である。

●「イスラエル人はリスクテイカ-で意思決定が速く,率直な話し方をする一方,日本人はあらゆるリスクを考えて慎重で,スピードよりも品質を重視し,礼儀を重んじて直接的な言い方を避ける。このため,イスラエル企業にとっては,日本企業のやり方は遅いと感じて不満を持つかもしれないが,一度信頼関係を築くことができれば,その関係性は強固かつ長期的なものとなり,パートナーを支援するために日本企業が物惜しみすることはない。イスラエル企業は,少し我慢強くなることで,日本企業との長期的関係から利益を得ることができる,とアドバイスしたい。」

●イスラエル企業は,巨大日本企業のみならず,中堅の日本企業も最大限活用すべきである。例えば,自動車のヘッドライトでは世界最大手の小糸製作所は,昨年,イスラエル企業BrightWay Vision社の2,500万ドルの投資ラウンドをリードしている。

●文化的違いの大きさから,イスラエル人をイスラエル拠点のトップに据えて,トップ層のチャンスを逃さないようにしている日本企業もある。「それがトレンドだとは言わないが,そうした選択肢を採用している日本企業もいる。」

●イスラエルはスタートアップ・ネイションからスケールアップ・ネイションに変わろうとしているが,このことは両国経済関係にとって更なるチャンスとなると見ている。「我々はイスラエル企業が成長するために必要なあらゆるものを提供できる。イスラエル企業にとって,日本企業と協業する重要性はかつてないほど高まっている。」